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巻頭特集Ⅱ働き方改革なぜ必要 人口減少社会への適応に待ったなし

生産性向上が日本経済強くする

 人口減少社会で日本経済が競争力を維持し続けるための最重要課題として国が掲げる「働き方改革」の取り組みが加速している。昨年8月には加藤勝信氏を新設された働き方改革担当相に任命。年度内には実行計画を取りまとめ、関連法案の国会提出を目指す。

 国がここまで力を入れるのは、人口減少により既存の経済の仕組みが崩壊することへの危機感からだ。日本の経済成長は、人口が増加する中にあって、安い労働力による大量生産が支えた。人件費が低く、代替要員はいくらでもいたため、長時間労働が成果に直結していた。しかし、この労働力人口の増加が経済成長を後押しする人口ボーナス期は1990年代に終了し、いまや人口構造がマイナスに作用する人口オーナス期の真っただ中にある。豊富な労働力に頼ったこれまでの仕組みは通用しなくなっていく。

人手不足は序章に過ぎない

 それが表れているのが雇用情勢。昨年10月の岡山県の有効求人倍率は前月に続き1.76倍を記録。さまざまな業界に渡って採用難の声が聞かれるようになった。しかし、人手不足は序章に過ぎない。今年には人口構成最大のボリュームゾーンの団塊世代が70歳代に突入し、2025年には全員が後期高齢者となる。団塊世代が介護を必要とするようになると、それを支えるのは同世代を親に持つ団塊ジュニア。第2の人口ボリュームゾーンのこの世代が介護離職すれば、ただでさえ人手が不足する中で企業経営は立ち行かなくなる可能性もある。

 そうならないように、生産効率の向上と女性や高齢者の労働参加を促進し、負のスパイラルから抜け出そうというのが働き方改革の骨子だ。

改革には生産性向上が不可欠

 取り組みは主に、長時間労働解消による仕事と生活の調和「ワーク・ライフ・バランス」の促進と柔軟な働き方による女性や高齢者の労働参加、同一労働同一賃金の実現など。中でもワーク・ライフ・バランスの実現は、単に労働時間を短くすれば良いというものではなく、時間を短縮しながら成果は落とさない生産性の向上が欠かせない。

 (公財)日本生産性本部によると日本の労働生産性は、1時間当たり41.3㌦で、OECD加盟34カ国中21位。改善の余地の大きさを示す数値となっている。国は、生産性の向上を通して労働者の確保だけでなく、日本経済の競争力を高めたい意向だ。

頑張り必要な岡山の現状

 岡山の現状を全国と比べると、遅れが見えてくる。厚生労働省が毎月勤労統計調査でまとめた2013年の岡山県の年間総実労働時間(従業員30人以上の事業所)は1892時間で全国平均と比べ100時間長かった。15年は90時間差となったが、依然差は大きい。また、同省が昨年5月に発表した2015年人口動態調査月報年計で、岡山県の合計特殊出生率(外国人含む)が、前年と同じ1.49と岡山を除く全都道府県で上昇する中唯一横ばいだったことから話題に。昨年7月の県子ども・子育て会議(議長・佐藤和順岡山県立大学教授)でも議題に上がり、待機児童の解消促進を求める意見などがあった。岡山県は伊原木知事自らイクボス宣言するなど改善に努めているが道のりはまだ遠い。

 14年に厚労省が行った21世紀成年者縦断調査で、夫の家事・育児時間が長いほど妻の継続就業割合が高く、第2子以降の出生割合も高い傾向にあることが明らかになっている。岡山県の活性化のためにも、働き方改革でWLBを実現することが欠かせない。

本誌:2017年1.1号 7ページ

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