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巻頭特集Ⅱ働き方改革事例 親幸産業

給与アップと労働時間短縮両立 口コミで社員が増える会社に

  • 充実した表彰制度で意識改革が進む

 3K(きつい、汚い、危険)の代表格で人手不足が慢性化している建設業界にあって「口コミで人が集まってくる」と異彩を放つのが、地盤改良工事などの㈱親幸産業(岡山市南区新保768-7)だ。2年ほど前から「ほめて育てて給与(日給)20%アップ」「労働時間短縮と週休2日制の実現」の2大目標を掲げ、働きやすさと収入アップを両立させることで従業員数増加につなげている。

 5年前までは年間に5人程度採用してもほぼ同数の離職者が出る状況が続いていた。その現状を打破しようと労働環境の改善に取り組む中、労働時間の短縮などを実現する手法の1つとして、3年ほど前にICT化を模索。その中心的な役割を果たす人材の採用が難航する中で、SE経験がある子育て中の女性が求職に訪れたのが転機となった。藤井忠広社長は当初、男性社会の色が濃い建設業でしかもフルタイム勤務が難しい女性の採用に二の足を踏んでいたが、社会保険労務士のアドバイスもあり1日7時間勤務の短時間正社員制度の導入に踏み切り採用した。

 その後に入社したプログラマーと事務員の女性2人と合わせ短時間正社員3人を本社間接部門に配置。施工担当者がクラウドに保存した工事現場の画像データなどから報告書や工事台帳を作成するなど役割分担を図り、現場の業務に専念できる環境を整えたことで、施工担当者は帰社後の事務作業が減少。限られた時間の中で仕事をこなす時短勤務の女性社員の働きに触発されたこともあって、男性社員も今では午後6時以降の勤務はめっきりなくなった。

 藤井社長は「労働時間が短くなったことでモチベーションが上がり、仕事の質の向上につながる好循環が生まれた」と話している。

コミュニケーションで生産性向上

 ICT化とほぼ同時期に取り組んだのが、既存の表彰制度の見直し。藤井社長は、かつて成果重視の査定にした結果、効率が上がりにくい仕事を若手に分配する傾向が見られるなど人間関係がぎすぎすした苦い経験がある。

 そのため、売り上げや利益率向上などに加えて、管理職には担当チームの労働時間削減や有休取得率の実績、社内外でのコミュニケーション徹底などを追加し、今では30近い表彰項目がある。毎月社員を表彰するため、本社の壁面に上位表彰者や各チームの実績がびっしり掲示される。表彰を励みにチームでの連携が強まっており、社内での決まりごとも自然と徹底されるようになった。ミスや無駄な作業が減っており、藤井社長は「生産性向上にコミュニケーションは欠かせない」と強調する。

2年間で平均労働時間10%短縮

 業績が右肩上がりにある中で、中小企業の平均昇給率は年1~2%だが、同社の昇給率は2年前から10%ほどアップ。平均労働時間も10%減少しており、給与20%増と労働時間短縮の2大目標達成も現実味を帯びてきた。

 最近では口コミで従業員が集まるようになり、業界で若者離れが進む中、20~30歳代の中途採用など2年間で従業員数は10%近く増加している。

 社員の意識改革が進んだ手ごたえを感じつつ、藤井社長は「働き方改革に一発逆転の策はない。時短勤務制度導入はあくまでも取り組みの1つ。細かい取り組みの積み重ねで当社の今がある」と振り返る。

メモ
住 所 岡山市南区新保768-1
代表者 藤井忠広
資本金 300万円
創 業 1994年6月
従業員 40人

本誌:2017年1.1号 13ページ

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