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特集[ウィズコロナのビジョン/メンタルヘルス] ㈱アウラ心理教育センター社長・臨床心理士 本多公子氏

多様なストレスに備える時代 経営戦略に組み込みプロ活用を

 新型コロナ感染拡大以降、相談件数が飛躍的に増えました。在宅ワークが一気に普及するなど、環境の大きな変化にストレスを抱える人が増えているためです。ウィズコロナ時代、アフターコロナ時代は、これらのストレスに向き合い対処していく時代と言っていいでしょう。

 テレワークでの事例では、これまで以上に能力を発揮している人がいる一方で、オフィスでは能力を発揮できていたのに、自己管理の不得意さなどから思うように成果を上げられずストレスを抱える人が増えています。また、微妙なニュアンスなど“空気”を把握しづらい画面越しのコミュニケーションで、小さなストレスが蓄積し心身に不調をきたす人も増加しています。

増加するトラブル

 また、オフィスでは“空気”を読んで、険悪な状況になる前に場を和ませるようなバランスをとる役回りの人がいることが多いのですが、テレワークではそれが機能せず、抱え込んだストレスからささいなことでパワーハラスメント騒動に発展するケースも出始めています。例えばある少人数のオフィスでは、いつも通りのメールの内容に、「この言い回しは失礼きわまりない。パワハラだ」と突然感情が抑えられなくなって猛抗議し、企業が対応を迫られる事態になったケースもありました。

 一方、緊急事態宣言解除後通常業務に戻した企業では、テレワークで能力を発揮し作業効率の上がった人たちの中から、他者からの刺激にさらされずに仕事をすることの快適さに気付き、これまで何の疑問もなかったオフィスでの仕事にストレスを感じるようになるケースも現れ始めています。従来の労務管理にそぐわない人たちが現れたわけです。

フォローから予防へ

 今後求められるのはまさに、従来の1つのルールの中でストレスを抱えてしまった人へのフォローから、多様な働き方への変化の中で個々人の特性まで見据えたフォローに考えを切り替えることです。

 その中では、オフィスという職場環境への配慮だけではなく、在宅勤務の場となる個々人の家庭の状況まで把握する必要も出てきます。多様化するストレスへのフォロー、状況の異なる個人1人ひとりへのフォローは、企業の管理者では対応しきれなくなることは確実です。また、ニューノーマルへの環境の激変にストレス自体が大きくなっています。このため今後は経営戦略として、プロの活用、つまりメンタルヘルスのアウトソーシングが進むものと考えています。

 われわれ企業のコンサルティングにかかわる臨床心理士には、従来の不調を早期発見し対処する2次予防、職場復帰をフォローする3次予防だけでなく、心身の健康とそれを能力開発につなげる仕組みづくりのゼロ次予防がこれまで以上に求められると考えています。

メモ
産業医1人、臨床心理士5人を擁するアウラ心理教育センターを経営。東京、岡山を拠点に企業の顧問を務め、全国を飛び回っている

本誌:2021年1月1日号 11ページ

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