WEB VISION OKAYAMA

特集[ウィズコロナのビジョン/地方復権] ㈱オーディオストック社長 西尾周一郎氏

コロナ禍で崩れた一極集中 今度こそ始まる地方の時代

 昨年11月に東京都に置いていた総務・経理の管理部を岡山の新本社に移し、岡山を拠点にした業務をスタートしました。新型コロナウイルスの感染拡大で全社員の在宅ワークを進め、どこでも仕事ができるのなら、広いオフィスが持て、賃料も安い岡山の方がメリットが大きいと感じたからです。同じような考えで地方に拠点を移す企業も増えてきており、今後、東京への一極集中から地方の時代に大きく変わってくるのではないでしょうか。

 私は、2012年に東京に移住し、五反田に東京支店を開設しました。目的は3つで、1つはインターネットを通じて音楽を販売するビジネスのため、映像制作、ゲーム制作、広告代理事業社など新規取引先を開拓しやすいこと。2つ目が大手コンテンツ制作会社、メディア関連企業との連携。最後にベンチャーキャピタルなど支援機関からの資金調達でした。当時は、音楽事業の売り上げは少なく、下請け開発で資金を得て運営していたため、拡大したい音楽業務に力を注げないのが実情だったのです。登記上は岡山本社でしたが、本社機能は東京に置き、岡山は実質的には開発拠点となっていました。

 新型コロナを受け、昨年1月末にいち早く岡山を含めたすべての社員を在宅ワークにしました。早期収束は見込めない状況だったので、3月には、電話、テレビ会議を中心とした新しい営業スタイルに切り替え、動画クリエイター向けに「音楽の選び方講座」などオンラインセミナーを開き、新規客の開拓などに努めました。4~6月はイベント、ブライダルなどがストップして音楽需要が減り厳しかったものの、7月以降は徐々に回復しています。

 私は在宅ワーク中、取引先とのオンライン打ち合わせ、テレビ会議と、ほとんど自宅で仕事しており、閉塞感で精神的にも疲弊してきたため、「同じ働くなら、広い家で仕事したい」と、子育て環境のことも考えて6月に家族と共に帰岡しました。その後、東京支店がほぼ無人で家賃が高いため、規模を縮小してシェアオフィスに移転することを決め、本社機能を岡山に集約したのです。

地方が社員の人生豊かに

 業種や会社のステージにもよりますが、働きやすい地方がフューチャーされる時代になるのは間違いないと感じます。今まで日本のビジネスで当たり前となっていた「直接会いに行くことが敬意」という流れがコロナで止まり、オンラインでの打ち合わせや交渉が失礼ではなくなりました。大手IT企業では、オンライン勤務を前提として採用する制度を導入し始めています。もちろん、東京でしかできないことも多く、バランスは必要となります。

 人生の大半の時間を会社で過ごす中、職場環境は重要で、ワークライフバランス、QOL(生活の質)の点からも地方勤務によって人生を豊かにする意義は大きいと思います。首都直下型地震など自然災害のリスクもあり、首都圏に拠点を置く必要性が薄れてきているのではないでしょうか。

メモ
岡山大学経営学部時代の2007年に学生ベンチャーで起業。音楽素材の売買サイト「Audiostock」運営

本誌:2021年1月1日号 12ページ

PAGETOP