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特集[ウィズコロナのビジョン/教育] 森教育学園副理事長 森健太郎氏

気付かされたのはリアルの大切さ 新時代でも守るべき教室での授業

 新型コロナウイルス感染拡大で学校教育は長期間の休校を余儀なくされるなど、大きな影響を受けました。岡山学芸館高校ではいち早くオンライン授業を導入し、必要な単元を期間中に終えることができました。しかしそこで強く沸き上がったのは、コロナ禍で社会が変わろうとも、地道に愚直に平静の学校の在りようを変えず教育活動を行うことこそ最大のミッションという思いでした。

 オンライン授業は非常にロジカルにシステマチックに進めることができます。資料を提示し動画、画像を表示しながら教室でできていることは110%できました。教員の無駄口も生徒の無駄口もなく、授業そのものは通常の授業より1.5倍程度のペースで進みました。

 しかし、その後単元の内容が実際に定着しているかを見ると、あまりしていないと感じたのです。人間の記憶は複合的なもので、雑音、匂い、感触だとか、そういうものが総合して編み込まれていくものだからでしょう。ある大学の教授によると、オンラインでのコミュニケーション量が4000だとしたら、リアルだと1000万ぐらいとかなりの差があるそうです。これはすごく当たっていると思っています。

 オンライン授業を全否定するわけではありませんが、終えて思うことは、フェイストゥフェイスの重要性。教室での授業では脱線することがよくあります。その脱線した内容の先に非常に面白い話があるものです。さらに集団生活の中で子どもたちは、教員の発する言葉だけでなく、さまざまなことから情報を吸収します。そういったことなしに非常に早く進むことがいいのか。そんなものではないと思います。ですから学校が果たす役割というのは、幅広く大切なことを学べる場としての授業をいかに継続するかにつきると思ったのです。それができなくなる阻害要因はできる限りそぎ落として、できる限り生徒に登校させ、授業を受けさせる。そのためにできることを徹底してやる。それしかないと考えています。

岡山がチャンスつかむとき

 一方、変化に期待する面もあります。今回のコロナ禍の中でデジタル庁の創設をはじめ、これまで必要と思われながら停滞していた課題への取り組みが一気に進んでいる点です。特にデジタルトランスフォーメーション(DX)への機運が高まり、岡山をはじめ地方の有利なところがディスクローズされ始め、どこでも仕事ができるなど東京一極集中が変わろうとしていることは、教育においても大きな意義があります。

 今当校への県外からの問い合わせがかなり増えています。ネットを通じて世界中からアクセスできる状況の中で、学費、教育の内容、環境など総合的評価を首都圏の人が見たときに、すごくリーズナブルに感じてもらっています。

 岡山にとって大きなチャンスです。高等教育機関と経済界が結びつき、DXなど社会課題に取り組む探求学習で地域を盛り上げることに挑みたいと強く思っています。

メモ
岡山学芸館高校校長。岡山商工会議所副会頭。海外とのオンライン英会話学習などをいち早く導入するなど革新的な取り組みで注目されている

本誌:2021年1月1日号 8ページ

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