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巻頭特集第3波超えキャンプブーム加速!?

業者多忙で新規参入に遅れ ベテランは山買う選択も

  • 屋外で巣ごもりのストレスを解消(たまの湯キャンプ場)
  • 4カ月で400人が利用した下電ホテルのグランピングサイト

 コロナ禍の中「週末満員」が続くなどキャンプブームが依然続いている。第3波も乗り越え、密を避けられるレジャーの強さを示し続けた。事業者も㈱下電ホテル(倉敷市)が実証実験終了で一旦解体したグランピングサイトを近く再建するなど春夏のハイシーズンに向け積極的に動きだしている。一方にぎわいを嫌い山林を買うベテランキャンパーも増えているという。

 コロナ禍の中、密にならない屋外レジャーとして注目されたキャンプ。数年前からのブームでキャンプ場や用品などの情報が目に触れやすかったことも後押し。第3波の到来もものともせず、閑散期の冬も週末はキャンプ客でにぎわう成長市場となっている。宇野港土地㈱(玉野市)が日帰り温泉施設隣りに2019年4月にオープンした「たまの湯キャンプ場」では、1年を通し土曜、祝日は高稼働。同社が18年に玉野市沖の無人島竪場島(通称くじら島)で開業した1日1組限定のグランピングサイトは、9月まで週末は埋まっている状態で、梅雨の6月を除き平日も埋まりつつあるという。昨年は全国へ緊急事態宣言が発令されるなど外出自粛が要請された4~6月は低調で、秋冬も動きが鈍く、第3波後に需要が高まっている状況。コテージの新設に加え、巣ごもりでPR動画、Webサイトの視聴が伸びていることも後押ししていると推測している。

 好日山荘岡山駅前店では、用品の売れ行きも好調継続。西洋飯合メスキン、ソロストーブ、ナイフなど来店前から目当てのものを定めている客が多く、特定メーカーの決まった商品が多く売れているという。

 そんな中、新たな投資も。JR西日本との実証実験で社有地のビーチを整備しグランピングサイトを運営していた㈱下電ホテル(倉敷市)は、昨年9月25日~1月17日の実証実験期間を終え補助制度の関係で一旦解体したものを、整備し直し3月中にもオープンする計画。GO TOトラベルキャンペーン中止による終盤の苦戦をものともしない、平日も含め6割稼働、利用者数約400人という好成績を受けたもの。実証実験はJRが整備し、同ホテルが運営する形態だったが、同ホテルが整備、運営し、JRが販売協力する。7月には2棟からの増設も計画している。

 永山久徳社長は「個人、少人数での旅行の浸透などで、収束しても団体旅行が以前の規模にまで戻ることはないだろう。その中でグランピングはホテルにとって新たな強みにできる事業」と期待。ただ今後競合は増えていくとしており、「現在われわれはファーストラビットではあるものの、未成熟な市場だけに常に調整していかないとイノベーターであり続けられないと思う。グランピングの中でもハイエンドなカテゴリーを目指し、ホテル事業者の強みを生かしたサービスを構築していきたい」としている。

 県内ではほかにもホテル事業者がグランピングに参入する動きがあるが、全国的な人気の高さから設備の製造、設置事業者に依頼が集中し、見積もりを取るだけでも相当な時間を要するケースも出てきている。あるホテル事業者は「かなりレスポンスが鈍くなっており、設置地域との調整を並行して進める中で気をもんだ」という。下電ホテルも「実証実験で使用した部材をそのまま組み立てるだけのため、影響を受けないのが幸いだった」と話している。

 一方、キャンプブームは不動産にも波及。都市部在住者へ田舎暮らし向けの不動産をホームページなどで紹介している自然と暮らす㈱(美作市)は、自分だけでキャンプを楽しむために山林を購入するケースが増えているという。関西圏を中心に県内からも需要があり、売れるのは沢で水を確保でき、わずかでも平地があり、車で行きやすい場所。県南は山林でも用途地域の制限が設けられている場所が多く、県北が中心。今年キャンプを始めた人がいる一方、キャンプ場が混雑し、うるさいからと購入するベテランキャンパーも多いという。

 気になるのはブームの収束。しかし、多くが縮小はしても、新しい生活様式の浸透、レジャーの多様化、環境整備、SNSでの体験共有などの背景もあり、ブーム前に市場規模が戻ることはないとみている。

本誌:2021年春季特別号 5ページ

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