WEB VISION OKAYAMA

連載記事杉山慎策の経営学考察

国富論を読む3

 「国富論」の第2章は「分業の起源」についてである。「生産性」の向上に大きく貢献する「分業」はどのようにして生まれたのだろうか。それは太古の時代に人々が「モノを交換」することを始めたことによる。「交換」の結果「分業」が生まれた。

 狩猟民族の中では、「弓」や「矢」を作るのが得意な人がいる。その人は他の人のために「弓」や「矢」を多く生産し、肉を多く獲ってくる人と交換するようになる。スミスは一般の人の中で、必然的に「弓」と「矢」を作るグループと「肉」を獲ってくる人々のグループ化が行われるようになると説く。

 これは犬や他の動物と大きく異なる人間独自の性質である。犬は狩りで、「キツネ」を追いかける時、2匹で協力しているように見えるが、実際に犬が分業をすることはない。動物は結局1匹ごとが独立し、自力で生きている。このために種の中に潜んでいる多様性を生かすことができない。従って、動物の世界では生産性が伸びることはない。

会員申し込みはこちらから

本誌:2024年2月5日号 13ページ

PAGETOP