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巻頭特集インタビュー 岡山県リペア協会会長 佐々木翔平氏

岡山にリペア文化根付かせる 技術力発信、体験企画で普及促進

 さまざまなものを修理、修繕するリペア事業者が連携し、このほど「岡山県リペア協会」を発足した。リペアの普及を推進し、壊れたものをすぐに捨てるのではなく、修理してできるだけ長く使い続けることで「ものを捨てない社会」づくりを推進し、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献を図る。会長で㈱リペアテック(岡山市)社長の佐々木翔平氏に設立の思いやビジョンを聞いた。

◇発足の狙いは。

 日本は古来、「もったいない精神」でいいものを大切に長く使ってきました。しかし、高度成長期以降の大量生産大量消費の考え方により、壊れたら交換、買い替えが当たり前となり、直して使うことが減ってきています。ものは、使い続けて古くなることで味となり、愛着がわき、直った時には感動が生まれさらに大切にしようと思います。日本社会に修理、修繕して使い続けるリペア文化を改めて創出することを目指します。

 リペアは、ごみの発生を抑制し循環型社会を実現するために必要な要素の、リデュース(ごみの発生を減らす)、リユース(繰り返し使う)、リサイクル(資源として再生利用する)、リフューズ(ごみになるものを拒否する)とともに5Rとされていますが、まだまだ言葉として浸透していないのが実情です。リペアの普及はSDGsの「つくる責任、つかう責任」、「気候変動に具体的な対策を」、「海の豊かさを守ろう」、「陸の豊かさを守ろう」などの開発目標に直結します。多くの人にリペアについて関心を持ってもらえるよう活動していきます。

◇どのようなメンバーが参加している。

 当協会では、自社でリペアできる“職人企業”に絞ってメンバーを募っています。私は、フローリングなど住宅内装を中心としたリペアを行っていますが、衣服や革製品、時計、楽器などさまざまなジャンルのリペア業者9社が集まりました。個々の力は小さいかもしれませんが、力を合わせることで情報発信力を高め、認知度アップと利用促進につなげられます。これからも、家電やスポーツ用品など幅広くリペア業者とのネットワークを広げ、「岡山県リペア協会に相談すれば何でも直してもらえる」という職人集団を追求していきます。

◇具体的にどのような活動を考えているか。

 「こんなにきれいに直るんだ」という驚きを提供できるのがリペアの魅力で、実際の作業風景やビフォアアフターを多くの人に見てもらうことが重要と考えています。無料動画配信サイトYouTubeなどSNSを活用した情報発信のほか、靴の傷や、服のほつれ、家具の傷みなどを一定時間で修復する技術を競うイベントを計画しています。県内外で「靴磨き選手権」を実施している立岡靴工房(岡山市)がメンバーにいることから、ノウハウを生かして来年3月までの開催を目指しています。

 また、イベント会場には、子どもや一般の方が手軽にリペア体験できるようなコーナーの併設も検討中です。より多くの人に技術を見て、体験してもらうことでリペアを身近に感じてもらえる機会にしていく考えです。

◇課題は。

 業界の価値を向上することが重要な役割と考えていますが、リペアは職人仕事のため、技術者の育成が課題となります。各業種の技術の承継ができる場づくりを検討していくとともに、技術を認定する民間資格の立ち上げも視野に入れています。 メンバーの㈱服部管楽器(同市)は、楽器のリペア技術者が不足している米国サイパンに出向き楽器を修理する活動を行っており、現在現地への修理工房づくりに向けて取り組んでいます。これは、国内の離島などでも同じ状況が想定され、協会として出張リペア事業を実施しすることも検討中です。

◇今後の目標は。

 多業種の同業者が参画することで、さまざまな意見が集まり、リペアの可能性を広げられる会になってきていると感じており、リペアの可能性を広げ、岡山にリペア文化を根付かせるようまい進します。全国的に見ても、さまざまな業種のリペア業者が集まる業界団体は珍しく、岡山でロールモデルを作り、将来的には他の地方へも広めたいですね。


会員企業紹介

<畳・襖・障子>
㈱赤木製畳社長 赤木主氏

 1958年に畳店として設立し、完全自社製造体制で現代風和室から伝統的な和室まで、顧客の理想に応じた畳を提供。ささくれ、色あせなど畳に関する悩みをリペア技術で解消する。ショールーム「住の癒やし館」では、多彩な畳表を展示している。


<衣料品>

㈲馬野社長 馬野信吾氏

 「洋服なおしリフォームランド岡山」の名称で、岡山3店、倉敷1店を展開。丈詰め、ウエスト調整、ファスナー交換、裏地交換などさまざまな洋服直しに対応。店舗に商品を持ち込まず、ネットで申し込みを受け付け郵送でやり取りするオンラインショップを構築中。


<福祉車両>

㈱オアシスジャパン社長 田中英樹氏

 福祉車両の新車、中古車販売と車いすリフトや昇降シートなど福祉装置の修理業務を展開。中古車は、インターネットを活用した情報発信で全国に顧客を持つ。修理部門は、高い技術と専門性で病院・介護施設から一般家庭の車両まで幅広く対応する。


<時計・ジュエリー>

㈱ジュエリー・タナカ専務 田中大資氏

 本社店舗内に「おかやま時計宝石修理研究所」を併設。ブランド品やアンティークなど国内外どんな時計でも相談に応じ、オーバーホールから竜頭修理、文字盤再生まで対応。宝石はリモデルカウンセラー1級資格取得者が常駐し洗練されたジュエリーへ再生する。


<靴>

立岡靴工房代表 立岡海人氏

 「世界中の足元をゴキゲンにする」をテーマに、紳士靴オーダーなどを展開。修理にもこだわり、他店購入品を含むあらゆる靴のほつれ、サイズ調整、傷直しなどを手掛ける。特殊な手染めの染色技術「パティーヌ」で、好きな色やデザインを演出する。


<楽器>

㈱服部管楽器社長 服部悟氏

 岡山1店、東京2店の楽器店を運営。各店舗には「管楽器修理工房Claro」を併設し、トランペット、サックス、フルートなどを受け入れ。カナダとドイツの技術者から学んだ技術で顧客の要望に合わせた「音」をクリエイトし奏者に感動を届けている。
 

<家具・建材>

㈱マジックマン社長 大田和弘氏

 「ひつようとされる会社つくり、ひとようとされる人つくり」を理念に、中四国エリアを中心に家具、建材のリペアを展開。傷を元の見た目に近づけ目立たなくするため「まるでマジック」と言われることから社名を付けた。家具の再利用なども行う。


<皮革製品>

㈱RECULTURE社長 赤木智博氏

 岡山市北区野田で皮革製品のリペア店「リボーンスミス岡山」を運営。靴やバッグ、財布など、修理の難しいブランド品にも対応できるのが強み。「諦めていたものが修理できた」など喜びの声を励みに技術向上を図る。宅配修理にも対応する。


<内装・建材>

㈱リペアテック社長 佐々木翔平氏

フローリングや窓枠など建材や家具、外装材の傷補修専門会社。木質建材、家具などに付いた傷や大きなへこみや割れまで修復する。住宅の引き渡し前の補修で培った技術と信頼で業容を拡大。浴槽リメイク塗装など幅広いサービスを展開する。


協会概要

名称 岡山県リペア協会
会長 佐々木翔平
副会長 赤木智博
    馬野信吾
設立 2022年9月25日
会員数 9人
所在地 岡山市北区平野622-8(㈱リペアテック内)
電話 086-897-0400
FAX 086-897-0040

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