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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

アフターピルの試験販売開始

 以前、飲み会の席かどこかで産婦人科医をしている幼なじみが「診療時間外にアフターピル(緊急避妊薬)を処方してくれ、という男が勤務先の病院に押し掛けてきて対応に困った」という話をしていました。その緊急避妊薬がついに日本でも医師の処方箋がなくても購入できるようになりました。

 ただこの措置はまだ試験販売に過ぎず、しかも当面岡山県内では岡山市内にある薬局3カ所のみで実施されるようです。想定価格は7000円から9000円程度とのこと、さらに購入できるのは16歳以上の女性に限定、18歳未満では保護者の同伴が必要、しかも薬局でその場で服用しなければならないと、まるで嫌がらせのようにさまざまな条件を設定しています。

 すでに多くの先進国で使用され、しかもしばしば無料、匿名で入手できる現実があるのに、なぜ日本ではこと新薬認可に関して「石橋を叩いても渡らせたくない」ような制約を加えるのか理解に苦しみます。日本ではこれまで多くの薬害事件が発生し、そのたびに厚生労働省が厳しい批判を受けてきたので、「羮(あつもの)に懲りてなますを吹く」気持ちになるのは分からなくもないですが、役人の生理というのはとにかくマスコミや国民から批判されることだけは避けたい、できれば議論もしたくないというのが彼らの本音でしょう。

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本誌:2023年12月11・18日号 12ページ

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