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連載記事山田響子の魅力を引き出すコミュニケーション術

フックをかけるコミュニケーションに注意

 分かってほしい、できれば言わなくても分かってもらいたい。そんな気持ちはだれにでもあるかもしれません。特に身近な存在であればあるほど、この「言わなくても分かってほしい」という気持ちは強くなります。アドラー心理学では人生で向き合うべき課題(ライフタスク)を3つに分類しています。仕事の課題・交友の課題・愛の課題です。後者になればなるほどその課題は複雑で、こじらせると厄介な問題になってきます。夫婦やカップル、親子など距離が近ければ近いほど、より分かってもらいたい気持ちや、同じであってほしい願いが強くなるからです。分かって当然、同じであって当然、とまで感じてしまうこともあります。もしかしたら、部下や同僚にも「なんで言わなくても分からないんだ」と思ってしまうことがあるかもしれません。

 しかし、時折そんな思いがコミュニケーションを複雑にしてしまうことがあります。先日のことです。平日午前中の番組を何気なく見ていたところ、とても気になる話題が取り上げられていました。おそらく主婦層が見ているであろうその番組。投稿を読み上げて出演者が意見を交わすというコーナーがありました。ある日、そのコーナーにこんな投稿が取り上げられていたのです。

 「仕事と子育ての両方を頑張っている私、いまもクタクタなのに夫はそんな私の状況に気づくこともなく、今日も夕食後くつろいでテレビを見ている。洗い物がいっぱいになったシンクを前についに私はこう言ってしまった『もう…わたし限界』と。それなのに夫は『そんなに疲れているなら無理するなよ、洗い物は明日でいいじゃないか』としか言わない。明日って?結局私が洗うの。僕が洗うよの一言がなぜ言えない』というお怒りメールでした。

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本誌:2021年12月13・20日号 21ページ

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