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インタビュー・対談再生可能エネルギー電力で取り組むSDGs

「電力の地産地消」で地球と地域に貢献 白十字22店で年間485tのCO2削減に

 地球温暖化による気候変動で、台風や洪水の被害が年々増加している。国は昨年10月に、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると宣言し、企業の取り組みが求められている。削減策の1つとして注目されているのが、再生可能エネルギー発電による「再エネ電力」への切り替えだ。今回は、新電力の岡山電力㈱(岡山市)の平井敬明取締役と、店舗に再エネ電力を導入した㈱白十字コーポレーション(同市)の安達宏和常務に取り組みについて聞いた。


■事業内容を教えてください。

安達 白十字は、1957年に表町1丁目でワッフルとカステラ、バターケーキの販売店として創業しました。74年の岡山一番街への出店を機に広く名前を知ってもらえ、郊外店舗へと拡大してきました。「上品でかつ洗練されたケーキは文化的な生活を作り出す」をモットーに現在は、県内22店、香川、広島、兵庫県に21店の計43店舗で洋菓子、和菓子を提供しています。

平井 当社は、2016年の電力小売り全面自由化を受けて、「晴れの国をもっとあかるく」をコンセプトに「ハレでん」ブランドを展開している新電力会社です。新電力は、電気の小売りを担当しますが電気を契約者に届けるのは従来通り配送電事業者で電気の品質が変わったり、停電が増えたりすることはなく、大手電力会社よりも固定費がかからないため電気代を削減しやすくなるメリットがあります。また、電気代の
一部を地域に還元するプランなども提供しています。

■今回、白十字が契約したプランはどのようなものか。

平井 発電時にCO2を排出しない水力や太陽光、バイオマスなどの発電所で作られた電力を証明する非化石証書を紐付けることで再エネ電力が契約できる「ハレでんRE100プラン」です。100%岡山で作られた再エネ電力を契約できる「from OKAYAMA」や30%を再エネにした「RE30」プランなどを用意しています。岡山はバイオマスや太陽光など再エネ発電所が豊富で約1000世帯をカバーできる非化石証書を契約しています。地元で発電した電気を岡山の人に使ってもらう「電気の地産地消」が可能となり、電気を通じて地域の経済活動に貢献できます。

安達 政府が今年5月、温室効果ガスの排出量を「2030年までに13年度比46%削減」とする中間目標を掲げた中、何か取り組めることがないかと考えていた時に岡山電力さんの紹介を受けました。当社は、岡山で創業し、地域のお客様に愛されて成長させてもらったという思いが強く、CO2削減に貢献でき、さらに地域にも貢献できるプランに共感し、導入を決めました。10月中に県内22店舗の契約を「from OKAYAMA」プランに切り替えます。昨年は対象店舗で年間945.748kWhの電気を使用しており、484.95tのCO2を排出していました。杉の木に例えると6万7542本が年間に吸収するCO2相当となるそうです。今後は、県外店舗の再エネ電力への切り替えも検討していく方針です。

平井 当社が本部となり全国24地域の新電力とグループを構成しており、県外の再エネ契約も広くサポートできます。県外対応の際はお声掛けください。

■プラン切り替えで期待することは。

安達 今回のプラン導入に当たっては、社内の販売会議で切り替えのメリットをきちんと説明し、取り組みについて賛同を得ました。経営者の一方的な思いだけでは意味がなく、全社で一丸となって環境意識を高めて取り組むことで継続できます。社員の意識改革にもつながったのではないでしょうか。お客様に対しても、各店の店頭に、岡山で作られた再生可能エネルギー由来の電気を使用していることを知らせるパネルを置くことで、このようなサービスがあることを多くの人に知ってもらい環境問題を考えるきっかけを創出できればと考えています。

 また、会社説明会などでも取り組みを発信する予定で、採用面でのプラス効果にも期待しています。

平井 今回のプランを企業に提案する際に各業界のトップリーダーに使ってもらいという思いがあり、白十字さんと契約できた意義はとても大きいと感じています。取り組みは、SDGs(持続可能な開発目標)の7番「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、11番「住み続けられるまちづくりを」、13番「気候変動に具体的な対策を」につながります。同業の企業だけでなく、来店客を通じた個人の意識にまで広がることを期待しています。

■白十字ではそのほかSDGsにどのように取り組んでいますか。

安達 店舗のリニューアルのタイミングでの照明のLED化やビニール手提げ袋の撤廃、受発注業務でのペーパーレス化の推進などに取り組んでいます。フードロス削減では、やむを得ず賞味期限の迫ったゼリーなどをフードバンクやコミュニティフリッジ(共同冷蔵庫)に寄付できるよう検討しています。

■今後の目標は。

安達 2㎞圏内の顧客に愛される地域密着の店舗づくりをさらに追求し、コロナ禍でストレスが溜まる中で、少しでも和らいでもらえるようなお菓子作りに努めていきます。地域や社会へ利益を還元する活動を通じ、社員が誇りをもって働ける会社になることを目指します。

平井 企業経営において、CO2の削減など環境への配慮は不可欠となってきています。手軽に取り組めるSDGs活動として企業や自治体にGX(グリーントランスフォーメーション)を推進し、岡山がクリーンエネルギーの先進県となれるように活動を広めたいですね。

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本誌:2021年10月25日号 14ページ

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