連載記事杉山慎策の経営学考察
鍋島閑叟4
長崎海軍伝習所が正式に開設される前に、オランダはスンビン号というオランダの軍艦を派遣し、海軍の仮伝習を実施した。これには長崎警護を担当していた福岡藩と佐賀藩の藩士たちが参加していたが、閑叟はこの船に直接乗り込み、軍艦についての説明を受けた。藩主が直接外国の軍艦に乗り組むことは稀なことであったが、閑叟は自分の目で確かめたかったのであろう。また、その船の購入を申し出て断られたが、後に実際の軍艦をオランダから購入する。海軍の伝習だけではなく、蒸気機関車などの新しい技術についても吸収した。その後、自前で蒸気船を作り上げることになる。閑叟は「御船手稽古所」を安政5年(1858年)に設置し、後に三重津に海軍所を作り、実用蒸気船「凌風丸」を慶応元年(1865年)に完成させた。
慶応3年(1867年)パリで開催されたパリ万博には幕府の要請で佐賀藩からも参加することになる。実はそこには薩摩藩も参加していた。イギリスが働きかけたからである。フランスはそれに対抗する形で幕府に参加を要請していた。閑叟は佐野常民を団長として派遣した。パリ万博に続く万博はウィーンで明治6年(1873年)に開催され、明治政府として初めて参加することとなった。この万博では、日本の神社と日本庭園などが設置された。時の皇帝フランツ・ヨーゼフ一世や皇后エリザベートも訪れた。ウィーンで沸き上がった「ジャポニズム」は西欧に大きな影響を残した。クリムトの絵画にも「ジャポニズム」の影響を見ることができる。ウィーン万博では有田焼が「名誉大賞」を受賞することになる。
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