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連載記事杉山慎策の経営学考察

上杉鷹山7

 鷹山も恐らく産業育成の重要性には気が付いていた。財政状態が厳しい中で多くの産業の育成を仕掛けた。しかし、結局明治になっても継続された産業は養蚕と絹織物であった。不思議なことに、この鷹山の育成した絹織物の伝統は現在の「帝人株式会社」(以後テイジン)の創業に結び付いている。

 米沢の絹織物は明治になっても発展し輸出産業になった。しかし、この絹織物に対抗する新しい繊維がフランスで開発された。1884年のことである。絹のような肌触りがする「夢の化学繊維」であるレーヨンの誕生である。(テイジンのホームページによる)

 日本化学繊維協会のホームページによれば、欧州でレーヨンの工業生産が1891年から開始された。このまま放置しておくと日本の絹織物産業が壊滅的打撃を受けることを危惧した米沢高等工業学校(現山形大学工学部)の秦逸三教授は、木材パルプからレーヨンを製造することに成功した。

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本誌:2020年7月6日 19ページ

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