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連載記事スローライフ~午後4時の窓辺から~

老いの加速を楽しむ(下)

 年々、時が過ぎゆくのが早くなるのは、親の介護が終わったいま1日の大半を無為に過ごしているからに他なりません。働き盛りのころ、いろんな問題が次から次へとわき出てきて、毎日を忙しく過ごしていたころのことを思い返してみると時間不足に悩んでいたのとは裏腹に当時は1日、1週間、ひと月、1年がずいぶん充実して長かったという印象に置き換わっているのが不思議です。

 時間とは絶対的なものではなく「ものごとが変化した積算量そのもの」と定義していいでしょう。変化量が多いと時間は豊かであり、時計が知らせる同じ1時間もずいぶん拡張して感じられるはずです。逆にこれといった事件もなく毎日ぼんやり生きていれば時間の流れは光陰矢の如し。だからといって加速する時間にブレーキをかけるのは難しく、こうなったら時間に抗うことは諦め、むしろ流れに身をまかせてそのときどきを楽しむほかありません。

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本誌:2020年2月24日号 14ページ

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