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連載記事杉山慎策の経営学考察

山田方谷6

 たたらの砂鉄を生かした鉄鋼産業を中核として方谷の経営改革は進められた。方谷の経営改革の中核は、農業、つまり第一次産業を中心とした上杉鷹山の改革モデルから脱し、一次産業から二次産業にシフトさせることで大きな付加価値を生み出したことにある。短期間で松山藩の10年間のGDPに相当する借金を支払い、加えて、その借金に相当する金額を貯蓄するためには付加価値の高い産業にシフトさせることが必要である。これこそが方谷の改革の最も重要な点である。

 勿論、生産した商品を大阪で卸業者に渡さず、国内最大市場であった江戸で直接販売をしたことも利益の最大化という点では優れている。150年後の今日のSPAのビジネスモデルや一次産業の六次化を先取りしたものである。方谷は優れた経営者であった。

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本誌:2019年11月4日号 23ページ

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