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連載記事杉山慎策の経営学考察

「あなたの会社では社員をどう呼びますか」2

 グローバル企業であるユニリバーにはユニークな人事戦略がある。グローバル化を進める多くの日本企業にとって参考になると思う。基本戦略は如何に、国籍の違い、文化の違い、髪の毛の違い、目の色の違い、宗教の違い、言語の違いなどを乗り越えるかである。シンプルにその要点を述べれば、要は本社の社員は本社で採用しないことである。ユニリバーの本社の総合職の社員は基本的に全て世界中の子会社から採用している。つまり、子会社、例えばユニリバー・ジャパンの社員の中から優秀な社員が選抜されて本社勤務になるという形を取っている。イギリスに駐在していた時に優秀なオックスフォードやケンブリッジ大学の学生と面談することがあったが、彼らは何故ユニリバーに入らないのかと聞くと、「本社採用がなくて、一旦イギリスの子会社に入らなければならないからだ」と言っていた。この人事制度を分かり易く説明すると、トヨタの本社の人材は、トヨタの日本の子会社を含む世界中のトヨタの子会社から抜擢される。優秀な日本の学生でも一旦トヨタの日本あるいは海外の子会社に入らなければ本社への道は開けない。こうすることで、人種間の差別を軽減し、全ての社員が同じ土俵で戦うことができるようにしている。本社社員とか、ローカル社員との間の差別も解消される。

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本誌:2019年3月4日号 19ページ

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